[ruby-dev:4863] Re: module Precision

ごとけんです

In message "[ruby-dev:4852] Re: module Precision"
    on 99/02/09, "豊福" <[e-mail]> writes:

>  豊福＠パパイヤです。
>
>本当は自分でも試してみるべきなのですが、じっくり考える
>パワーが今はないので質問だけで御勘弁を。

なんか僕が先走ってるような気もするので些細な疑問でも
おっしゃってください．

>ごとけんさん
>> 僕の頭の中にある「精度をもつもの」は実数の部分集合だけです。
>> その意味で、Numeric は Precision をインクルードすべきでは
>> ないと考えています。
>
>  けいじゅさんもふれていましたがそもそも prec の話は
>Matrix の to_i から始まったので当然 Matrix や Complex
>も含めた話だと思ってました。

ちゃんと確認をとらなくてすみません．

発端は，石塚さんや豊福さんのおっしゃるように，Matrix#to_i が
名前に反しているという指摘からでした．そこで prec という名前が
いいんではないかとなって，それなら prec を実装するには以下で
述べるように指定したクラスに変換するクラスメソッドがないと
メンドイということになり，組み込みで induced_from があると
いいなぁということになりました．

で，ここからが僕の(了承のとれてない)考えになるんですけど， 

  prec の引数にもってこれるのは kind_of?(Precision) に限ろう

というのが中心的な指針です．そのためには [ruby-dev:4850] 
でも述べたように，精度を実現するクラスのみが Precision を
インクルードするのが混乱のない方法だと認識しています．

# ただし，あんまり効率を落すのもイヤなので，現在の
# prec(klass) の実装では，raise unless klass < Precision 
# のような検査はしていません．

この基準に照らし合わせると，例えば 

  c = Complex(0.12, -34.5)
  c.prec(Matrix)

などを書く可能性が除外されます．もっとも Matrix の大きさが 
3x3 とか決まっていれば，

  Matrix.indecude_from(simple_number)
  ==> Matrix.unit(3) * simple_number

というのも悪くないかもしれませんが，この手の仕様をきちんと
定めるのは難しいと思います．このようなことから，Matrix#prec 
と Integer#prec は分けて考える必要があり，その違いを表明する
のが Precision をインクルードするかどうかだと思うのです．

>  それはともかく、話を Numeric にしぼっても prec の方
>が coerce より本質的だというのはまだピンときていません。

本質的かどうかは分かりませんし，少なくとも石塚さんが
指摘された rational + rational -> float + float の
ように常に [prec(type),self] で coerce が書けるとは
限りませんね．

ただ，「prec をもつこと」の方が「coerce をもつこと」よりも
(数学的にも)強い意味をもちます．なぜなら，coerce は
演算という代数的性質の実現であるのに対して， prec は
なにかを近似するモノに対してのみ定義されます．
ここでいう近似はあくまで数値の近似ですから，当然，
そのクラスは演算ももっているはずです．つまり，prec を
定義する場合は，coerce も実装するのが自然です．しかし，
逆はなりたちません．この意味で「prec をもつこと」の方が
強い条件です．

>  prec を coerce で書けないというのはどこがネックに
>なっているのでしょうか。「+」などの演算と「prec」で
>どこが本質的に違っているのか興味があります。

prec 自体は問題ありませんが，induced_from のように
初期値として引数をちょうど1個だけ必ず要求する new の
ようなモノがないことが問題です．

Integer() とか Float() とかはありますが，構文的制約から 
prec(klass) を klass(self) では定義できないことが 
induced_from を考えた一番の理由です．

また，coerce は必ずしも，所望したクラスのモノを返して
くれるかどうかは分かりません．つまり「演算できる」と
いうことは「精度をもつ」ということとは実際は独立です．

ただ，Numeric のサブクラスとして実装する場合，+(other) 
などの定義でオペランド other として組み込みクラスの場合を
用意するのはまっとうです．この結果，+(integer) などは
扱えますが組み込みクラスが演算子のまえにきた場合，
たとえば Integer#+(unknownnum) は unknownnum.coerce(self) 
を呼び出します．そこで新しい数値クラスを定義するさいに，
induced_from だけを定義すれば，Precision をインクルード
しておくことで coerce も用意されとりあえず組み込みクラスの
演算も動作するというのは割と魅力的だと思っています．

ですが， Precision に coerce を含めるとバグが湧くかも
しれないという指摘も当たっているような気もするので，
この点については，もう少し議論したいと思います．
個人的には Precision#coerce に注意書きをすれば済むと
思っているのですが．

# 長くなってすみません．

-- gotoken