[ruby-dev:4757] Re: [ruby-list:11703] Re: shared library

福間@福岡 です。

FreeBSDでのshared libraryの挙動に関して。続きがえらく遅れてしまって
すみません。


ざっとまとめてみます:

・a.out環境の場合(FreeBSD 2.xでは常に)

  - コンパイル時に -lfoo としてリンクするとき:
    インストールされた libfoo.so.x.y のうち、x と y とを合わせた
    バージョン番号の最も大きいものがリンクされる
    実行バイナリには、選択された foo, x, y が記録される

  - libfoo.so.m.n をリンクしたプログラムを実行するとき:
    インストールされた libfoo.so.x.y のうち、m == x かつ y が最大の
    ものがロードされる
    このとき、n > y であれば警告メッセージが表示される(場合によっては
    実行中にシンボルが見つからないなどの理由でruntime errorが発生する)

  - 注意点:
    ファイル名は lib<name>.so.<major>.<minor> とし、新しい関数が増えた
    場合はminorを、関数が削除されたり仕様が変わったりした場合はmajorを
    増やす

・ELF環境の場合(FreeBSD 3.x以上での標準設定)

  - コンパイル時に -lfoo としてリンクするとき:
    インストールされた libfoo.so がリンクされる
    実行バイナリには、ライブラリ中の soname の値(無ければ libfoo.so
    そのもの)が記録される

  - libfoo.so.m をリンクしたプログラムを実行するとき:
    インストールされた libfoo.so.m がロードされる

  - 注意点:
    ファイル名は(他のライブラリとの整合性のため) lib<name>.so.<version>
    とし、これを指す lib<name>.so というシンボリックリンクを作る
    ライブラリを作るときには gcc -shared -Wl,-soname,lib<name>.so.<version>
    などとする必要がある
    バージョン番号の数値的な大小に意味は無く、単なる名前の一部に過ぎない

# 参考文献:
# 「column: ELF用の共有ライブラリ」, Software Design Feb. 1999, pp.34-
# FreeBSDハンドブックの「自分でportを作る - 特別な配慮 - ELF対応」,
#  http://www.jp.freebsd.org/www.freebsd.org/ja/handbook/porting.html

なお、FreeBSD 3.x以上ではELFとa.out両方のバイナリがサポートされて
いますが、現在どちらのフォーマットがデフォルトに設定されているのかは
objformat(1) で調べられます。このコマンドを実行すると、現在の設定に
応じて aout あるいは elf という文字列が出力されます。
/usr/bin/objformat があるからELF環境だとは限りません(まあ、ふつうは
ほぼ間違い無くそうでしょうが)。

また、gccやld(やobjformat :)などに -aout/-elf というオプションを
与えることによって、このデフォルトを上書きすることもできます。


記事 <[e-mail]> において、
EGUCHI Osamu <[e-mail]> さんは書きました :

> あぁ、ELF では ln -s libXXX.so.version libXXX.so は必須ですか？

上記のとおりなので、そうなりますね。

> 福間> ここで、shared libraryをリンクする他のプログラムのことを考えると、
> 福間> a.outとELFのlibraryの名前は揃えておいたほうが好ましいでしょう。
> 
> ここで言う「名前」は、「.so. より左の部分と次の数字」の事ですね。

そうです。

> ただ、
> 「a.out と elf の ruby が１つのマシンに共存する」
> と言う状況は前提にしていません。

というよりも実は、portを作るときにそうなっていたほうが都合がよいから、
という理由が大きかったりします(^^;;

まあ、うまくやればa.out環境とELF環境でライブラリの名前が違っていても
大丈夫だとは思いますが。

# いまなら「a.outはサポートしない」という選択肢もありうるけど…

> 福間> # 例: libtcl80jp.so.1.4 (Tcl 8.0.4jp)
> 
> ナンバリングは 1 から始めるので
> 
>   libtcl80jp.so.0.4
> 
> ではないのが ruby-2.0 を考えると悩ましいですね。

ああ、こういうケースをすっかり忘れていました。
これだと libruby1.so.2.3 は使えませんね…。


ということで、ひとまず

> 福間>   libruby.so.12.3

になるようにしてみました。バージョン番号の付け方(増やし方)の基準が
もうちょっと詰められたら、適当に変更したほうがいいかも知れません。

  $ uname -sr
  FreeBSD 3.0-STABLE
  $ export LD_LIBRARY_PATH=.
--------
  $ objformat
  elf
  $ ./configure --enable-shared
  $ make
  $ ls -l libruby.so*
  lrwxr-xr-x  1 yasuf  wheel       13 Feb  5 21:44 libruby.so@ -> libruby.so.13
  -rwxr-xr-x  1 yasuf  wheel  1234501 Feb  5 21:44 libruby.so.13*
  $ ldd ruby
  ruby:
          libruby.so.13 => ./libruby.so.13 (0x28051000)
          libxpg4.so.2 => /usr/lib/libxpg4.so.2 (0x280cd000)
          libcrypt.so.2 => /usr/lib/libcrypt.so.2 (0x280d1000)
          libm.so.2 => /usr/lib/libm.so.2 (0x280d4000)
          libc.so.3 => /usr/lib/libc.so.3 (0x280ee000)
  $ ./ruby -Iext/md5 -rmd5 -e 'p MD5.new("foo").digest.unpack("H*")'
  ["acbd18db4cc2f85cedef654fccc4a4d8"]
--------
  $ export OBJFORMAT=aout
  $ objformat
  aout
  $ ./configure --enable-shared
  $ make
  $ ls -l libruby.so*
  -rwxr-xr-x  1 yasuf  wheel  1330918 Feb  5 21:49 libruby.so.13.1*
  $ ldd ruby
  ruby:
          -lruby.13 => ./libruby.so.13.1 (0x20016000)
          -lxpg4.2 => /usr/lib/aout/libxpg4.so.2.0 (0x20091000)
          -lcrypt.2 => /usr/lib/aout/libcrypt.so.2.0 (0x20094000)
          -lm.2 => /usr/lib/aout/libm.so.2.0 (0x20097000)
          -lc.3 => /usr/lib/aout/libc.so.3.1 (0x200b1000)
  $ ./ruby -Iext/md5 -rmd5 -e 'p MD5.new("foo").digest.unpack("H*")'
  ["acbd18db4cc2f85cedef654fccc4a4d8"]

というところまでは確認しています。

ELF環境だと、拡張モジュールを作るときにも -Wl,-soname,hoge.so なんてのが
渡ってしまいますが、実用上問題はないでしょう。たぶん。

# autoconfをよく分かってないので、なにか変なことをしているかも
# しれませんが(^^;
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 Yasuhiro Fukuma (福間 康弘) as Yasu.F @ Kitakyushu.Fukuoka.Japan
 Web site: http://www8.big.or.jp/~yasuf/
 “君の主人公は君だ。”