From: Tacos Date: 2001-06-20T20:00:37+09:00 Subject: [ruby-list:30335] Re: 共同著作物の謎( re :ライセンス) 共同著作物の話に戻って・・・ 利用許諾(利用許諾契約にするにせよ、その要素は意思表示です)などの意思表 示をするに当たり、権利主体が複数いると、どのように意思表示するのかが問題 となります。 ●1.日本の場合 我が「ローカルルール」ですと、著作権法65条2項により「共有者全員」の合 意がなければ利用の態様を決し得ないことになっています。 これは、民法の特別法になってまして、民法252条では、持ち分の過半数で決 するという多数決原理が原則となっていますが(だから持ち分51%とかするワ ケ)、著作権はその例外である、としたものです。 したがいまして、Bさんと、Gさんがそれぞれ別のポリシーを持っているとどう いう条件で利用許諾するかが決まらないことになってしまいます。 ただし、この調整規定として、著作権法65条3項というのがあって、「正当理 由がなければ合意の成立を妨げることはできない」とされています。 ●2.米国の場合 これが、グローバルスタンダード(笑)になりますと、知的財産権を共有した場 合、排他的利用許諾(独占ライセンスとか)は別にして、通常利用の許諾は、各 自が勝手にできます(ただし、対価を得た場合は各権利主体で分けることになり ます)。 === 以上を、「GPLとBSDを混ぜちゃった」事案にあてはめると・・・ ※マージした主体との「債権的契約」が入ると論理がややこしくなるので、Gさ んとBさんのソフトをMさんがマージしたとしましょう。 そうすると、 まず、1.アメリカだと、BさんもGさんも著作権を主張できるとすると、Bさ んは、BSDで、GさんはGPLで配布しちゃうことになります。 ユーザーは、より制約の緩いほうでの利用許諾を望むでしょうから、多くの場合、 BSDで流通するのではないかと思われます(ここで例の謝辞広告のイチャモン が効いてくる;あれを主張した以上、FSFサイドからはBSDは実質著作権放 棄だ、とは主張できないことになる;本当にlaywer ついてんだろうか?)。 なお、FSFは、 > In addition, mere aggregation of another work not based on the Program > with the Program (or with a work based on the Program) on a volume of > a storage or distribution medium does not bring the other work under > the scope of this License. (GPL2第2項から批評研究目的の引用) で、結合著作物拡張解釈説をとるような態度を示していますが(まぁ、そこまで は言ってないのかも知んないけど)、ある著作物が共同著作物と認定されるか結 合著作物と認定されるかは裁判所の法的評価ですので、このへんの条項で上記の 事態を防止するのは無理だと思われます。 要するに「合衆国で、GPLとBSDを(勝手に)混ぜるとBSDライセンスの 下で流通してしまい、それを差し止める法的手段はない」という摩訶不思議なこ とになります。 これでも、「BSDライセンスはGPLとコンパチだ」と表明してるのだから、 Tacos 的には、専ら政治的意図なのでは??と思料する訳なのです。/* また、 上記のような常識外れな事態を防いでいるのは、法律ではなくて、対抗言論によ るコミュニティレベルでの監視なのでしょう。 */ では、2.我が国ではどうなのか、については・・・ ※時間がなくなっちゃったので、続きはまたの機会に・・・m(_ _)m gomen- nasai ..Tacos(ozaki@ruby-lang.org)