[ruby-list:30063] Re: a draft of Ruby's new license

八田です。

だいぶ意見は収斂してきたようですが、もう一押し。

# 引用のつぎはぎですみません。

個人的には GPL とぶつからなければどんなライセンスでも良いと思いますの
で、*変えるのであれば* (新)BSD ライセンスでも、まつもとさんご希望の
「法三章」的な案でも、いっそパブリックドメインでも良いのではないかと思
います。

# ただし、MUSHAさんもおっしゃっていたように、パブリックドメイン相当に
# して完全に権利を放棄してしまうのは(それが可能かどうかはともかくとし
# て)あまり賢明なことではないと思います。誰かが GPL を適用してしまうか
# もしれないのに ;-)

しかし、Tacos さんが

>>>>> In [ruby-list : No.30054] 
>>>>>	Tacos <[e-mail]> wrote:
> >ああ、こういうのを手続きとしてなおざりにしてきたんですが、個
> >人的にはパッチを送ってもらった時点で著作権の譲渡を受けたと思
> >うことに
> これをこのコミュニティ内の黙示の契約と考えると、今度は、「rubyのソース
> コードを修正した者は、そのパッチを Originator に送付した時点で著作権を譲
> 渡したものとみなす」というライセンスをしていたことになり、そうなると、
> （ＧＰＬですら、修正部分の著作権譲渡まで義務づけてませんから※）ものすご
> い権利主張をしていることになり、およそパブリックドメインとは反対の方向に
> なってしまいます。
> ※ＧＰＬでは、原則改変部分のソース公開義務のみ。
> ＃著作権は創作した瞬間に創作者の下で発生してしまいますので、このへんの
> ＃扱いって本当に難しいですよねー。

とおっしゃっておられるように、「パッチを送ってもらった時点で著作権の譲
渡」というのはさすがにアプリオリに仮定できることではないように思います。
ライセンスを大きく変更するには、二次的著作物の著作権と著作者人格権を持
つ著作権者、すなわち、何らかの形でこれまで Ruby に contribute した*全
員*の承諾が必要と考えるのが妥当ではないでしょうか。メーリングリストで
尋ねても、もう購読していない人もいるかもしれませんし、直接しらみつぶし
に聞かざるを得ないでしょう。

# むしろこのあたりをなおざりにすると、ライセンスをクリアにする以上の
# 「曖昧さ」を新たに持ち込んでしまうことになるのではないでしょうか。

そんなわけで、樋口さんもおっしゃっておられたように

>>>>> In [ruby-list : No.30056] 
>>>>>	Takaaki Higuchi <[e-mail]> wrote:
> これを機にRubyライセンス全体を見直すと言う話になると、これまでのライ
> センスに従って開発寄与して来た人全体がライセンスについて考え直す必要
> が出てきますから、その多大な労力をかける必要がどの程度あるのか、よく
> 分かりません。どちらかと言えば、混迷するだけのような気がするので止め
> た方が良いのでは(^_^;)

という話になります。

# 実際、以前 Debian の設定ツール debconf を GPL から BSD ライセンスに
# 変えた時には、作者の Joey Hess は数十通(数百通?)のメールを出して承諾
# を得ていました。日本の法律だと事情が違うのかも知れませんが。

ようするに、ライセンスを変えるには結構な人的コストがかかります。そのぶ
ん hack に充てられた時間と考えると結構な機会費用の損失です ;-)

# この議論自体損失かも ;-)

本当にそこまで手間暇かける切迫した必要が今あるんでしょうか? 今のままで
本当に何らかの実質的不都合があるんでしょうか? 

FSF はことあるごとに Artistic が曖昧だと非難していますが、いくつかの欠
陥はあるもののそんなに致命的なものだとは思えません。GPL のような
copyleft を主張するライセンスではありませんから、組み込み用途その他で
も問題はないでしょう。また、Ruby's License はどのみちオリジナルの 
Artistic とはかなり違ったものです。

# Artistic について考えるのは Perl 界でなんかまずいことが持ち上がった
# 後で十分、というのはダメでしょうか?(笑)

MUSHAさんの案は検討に値すると思いますが、今よりもさらに複雑になってし
まうような気がします。特に、せっかく法的なレビューが済んでいる BSD を
ごちゃごちゃいじるのは反対です。海外の人が理解する上では、BSD そのまま
の方が好ましいと思うのは私だけでしょうか。

# 私の個人的な行動原理は、「めんどくさいのはいやだ」なので ;-) Apache
# といい PHPx といい、BSD 変種の氾濫にはもううんざりという感もあります。

取引費用の最小化という意味でも、良く知られたライセンスをそのまま適用し
たほうがいちいち何から何まで説明しなくていいので楽です ;-)

まとめれば

1) 変えるのであれば(宣伝条項のない)BSD が良い
2) ただし手続きが面倒だし、今変える必要はないと思う

--
八田 真行 (Masayuki Hatta)
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