[ruby-dev:13561] Re: yield *[[]]

まつもと ゆきひろです

In message "[ruby-dev:13560] Re: yield *[[]]"
    on 01/06/13, Tanaka Akira <[e-mail]> writes:

|2度あることは 3度あるというわけで、ぜったいあると思います。

ま、そうかもしれませんね。それでも構わないと思ってますが。
３度目くらいの蒸し返しで採用された例もあるし。

|前田さんの提案が採用されれば別ですが。

その後つらつらと考えたのですが、やはりCommon Lisp流多値はい
くつか(Ruby的には)問題があるようです。

  * 互換性

    というのは当然としても、

  * 主値と副値

    通常の代入では主値しか与えないというのは、意外に使いにく
    いような。Common Lispでもあまり活用されてないみたい。

  * a,b,c = 1..3みたいのは意外に便利

    to_aryを活用したものが使えなくなるでしょうね。あるいは
    Perlみたいにコンテキストによって違うものを返すようにする
    (wantarrayみたいのが必要ですね)ということも考えられない
    でもないですが、より複雑ですね。

|私のは少々修正が必要ですが、基本的に多重代入本体はそれで決定で、残りは
|Proc まわり、とまつもとさんは思っていると想像しています。

高知への電車の中で考えました。

実は、[1,2],*[]の件から触発されて、もしかしたら田中さんの案
である、*r == [*r] の方が使いやすいかもと考えたので、A4用紙
２枚程度にいろいろな組み合わせを書いてみました。

すると、単純代入と多重代入の範囲内だけでは、田中案の方がはる
かにきれいなことが(ほとんど自明ですが)、確認できました。

しかし、procと組み合わせると少々事情が違いました。

  proc{|a| p a}.call(*[1])

は a = *[1] とのからみがあるので、田中案での適切な値はどう考
えても [1] です。しかし、実際問題として、この状況で[1]を与え
るのは、今度は他のメソッド呼び出しとの整合性から見て妙です。

  method(:p).call(*[1]) # => 1 (not [1])

ですから、上記のaの値は1であって欲しいように思います。となる
と、結局これを満足させるのは、私の案しかないように思います。

これは|a|が、どう見ても単一の引数(つまり|a,|)のように見える
ことが原因なのですが、これは私にはどうすることもできません。

|が、私はもうすこしあがいてみるつもりです。その仕様が本当に互換性が高い
|のかという話と、型の話がネタです。まぁ、変える気になってくれるかどうか
|はわかりませんが。
|# net/http.rb という例も見つけてしまったし。

私の案でも過去とは挙動が明らかに違うんで、互換性に問題がある
のは確かだと思います。そういう観点からは、私のものと田中さん
のものとには差はないと思います。前田さんのは本人も認めている
通り、ちょっと違いが大きすぎるでしょうけど。

型の観点からは、「唯一の式の値がたまたま配列だったばっかりに
意図せず展開されてしまう」という問題がありえます。が、それも
明示的に *r とした場合の話でしょうから、影響はそれほど大きく
ないのではと推測しています。

net/http.rbの例はまだ知らないんで、私の見落としている穴があ
る可能性もありますね。

                                まつもと ゆきひろ /:|)