[ruby-list:19368] Re: オブジェクトの代入について

青山です。

On Fri, 10 Dec 1999 10:19:08 +0900,
[e-mail] (GOTO Kentaro) wrote:

> mutableな数を持って来たときにまず思い付くのは、succ! として
> の ++ の可能性ですね :-) さらに各演算子に対応する破壊的な操
> 作が思い付きます。いまのRubyには immutable なオブジェクトは
> 数しかないので、数が mutable になると、+= などが []= と同様
> に代入を伴わない操作にできる可能性が出ます。おそらく大きな影
> 響はこの周辺のことでしょう。問題はそうすると + から += を自
> 動的に作るのがほとんど不可能になってしまうことでしょうね。

+= 等は代入を伴うという事に依存して書かれているスクリプトもあるでしょ
うし、破壊的な操作は ! という事で、+! とか？

> >Fixnumの即値というのも、Pythonのような数オブジェクトの使い回
> >しも使えないわけで、そうなると最適化手段の乏しいインタプリタ
> >には痛い制約だったかも知れませんね。
> 
> この辺の事情はわかるので mutable な数をあえて要求しないです。

Fixnum 即値というのは、使えなくは無いという気がしますが、どうなんでしょ
うね。入れ物として扱うとした場合、中身は別なのですから、そこに即値が入っ
ているというのはありというような気もするのですが。これがいければ、
succ! が実現？

また、入れ物モデルで統一されれば、[1,"2",3,"4"].each{|c| c.succ! } な
んていう事もできて、代入が発生する filter よりも高速な処理と、統一され
たインターフェイスが実現するような気もします。

ここで、[1,"2",3,"4"][0] は、1 ですが、これは "2" が 2 という内容の文
字列であるのと同じように、1 という内容の数値とみなせば、
[1,"2",3,"4"].each{|c| c.succ! } が [2,"3",4,"5"] となる事も問題ないよ
うにも思えます。

> ちなみに演算子の性質は任意の集合上で議論されている話題です :-)
> 数には非可換な演算ないですね(−と÷は省略記法なので)。

こちらについては、Ruby には演算子は論理演算子しかない(...は例外)という
事でいいような気がします。

$ perl -e 'print 1 . "1", "\n"'
11
$ ruby -e 'class Fixnum; def &(n); self.to_s + n.to_s; end; end; p( 1 & "1" )'
"11"

例を上げるまでもなく、このような事は実際に可能ですが、問題は Ruby が純
粋なオブジェクト指向であり、演算子は(論理演算子しか)無いという事ですね。

オブジェクトが中心であり、+ 等も、そのオブジェクトのメソッドでしか無い、
つまり、演算結果はそのオブジェクトしだいであり、通常の演算子とはむしろ
逆に、可換な操作は無いと言っても良いぐらいでしょう。

また、数値や文字列程度であれば、. や & のように記号を使い分ける事によっ
て、連結や加算を使い分ける事も可能ですが、それはオブジェクトの種類が少
ない範囲でのみ実用的な事です。

汎用的には、すべての逆方向を確認しなければならないのは、設計、実装の大
きな負担ですから、やはり、Ruby においては演算子のようにみえるものもあ
るが、実際は演算子ではない、そして、非可換であると割り切っている現状ま
まが現実的なところのように思われます。


-- 
青山 和光 Wakou Aoyama <[e-mail]>