[ruby-dev:43373] 単位時間あたりに消費する電力を抑えるRuby処理系

　ささだです．

　Ruby 処理系が単位時間あたりに消費する電力を，極力抑えるためのパッチを
作成しましたのでお送りします(*1)．先行研究 [1] ではほんの少し抑えるだけ
でしたが，本パッチを適用することで Ruby 処理系を実行する前とほぼ同様の時
間あたりの消費電力で済むようになります．

*1: 本パッチを活用するには DVFS [2] に対応したプロセッサが必要になり
    ます．例えば最近のラップトップには殆ど対応していると思います．

　まずは，実行結果です．一番簡単に電力を消費するプログラムを作るには，無
限ループ（loop{}）を実行するのが簡単です．このプログラムを変更前，変更後
の Ruby 処理系で試した結果が図1 になります．

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図1 消費電力の推移．横軸が時間（秒），縦軸が消費電力（watt）
　　評価環境：Let's note F9（Intel(R) Core(TM) i5 CPU M 540  @ 2.53GHz）
              Windows 7 上の VirtualBox 上の
              Linux 2.6.32-5-686（Debian/squeeze）
　　　　　　　watts up? PRO を用いて計測

	http://www.atdot.net/fp_store/f.rplxil/file.graph.png
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　図1の最初の大きな山（横軸 17〜37 あたり）が現在の trunk（ruby 1.9.3dev
(2011-04-01 trunk 31226) [i686-linux]）で loop{} を実行しているところ
で，無限ループによって電力消費が大きくなったのがわかります．Ctrl+C に
よって無限ループをキャンセルし，その後にパッチ適用後の Ruby で同じプログ
ラムをすぐに実行していますが，電力消費がとくに増えていないことがわかりま
す．いくつかピークがありますが，裏でメール読んだりしているために消費電力
が増えているためだと思われます．


　パッチの内容は下記になります．とても大きな変更になるため（一部，互換性
を崩します），適用する際には気を付けて下さい．

	http://www.atdot.net/sp/readonly/z7mxil

　昨今の電力事情は言うまでもないですが，電力消費をおさえるための技術の開
発は急務です．本パッチがその一助になることを願ってやみません．

　以上，よろしくお願いします．


[1] 笹田耕一: Rubyのスレッド実装の改善,
第52回プログラミングシンポジウム報告集, pp. 145--152 (2011).

[2] 半導体の低消費電力技術
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E5%B0%8E%E4%BD%93%E3%81%AE%E4%BD%8E%E6%B6%88%E8%B2%BB%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E6%8A%80%E8%A1%93


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// もちろん，このパッチが一助になるわけはないのだけれど，
// もうちょっとなんとかならないか，真面目に考えています．